ジュネーブ便りその二

外食について。あまり行っていない。理由のひとつが、ジュネーブの物価の高さだ。海外に来て、日本以上に物が高いと思う事はそんなになかった気がする。マックでもすぐに10フラン(\1,000弱)を越える。
ここまで来て食べようとは思わないが、和食店でお酒も飲むと軽く100フランは行きそうだ(和食店のひとつは食材店を併設している。来てまもなく、日本事務局員向けにホテル近隣のスーパーや電器店などのインフォを作った時、そのお店を載せ、備考欄に「越の誉本醸造57フラン。切羽詰った時にどうぞ。」と入れたら、上司に「日本食が欲しくて切羽詰った時にどうぞ。」と修正された)。

もうひとつの理由の方が実は大きい。食指の動く所があまりないのだ。旅先では、そこならではのおいしい物を食べるためなら値段だのなんだのは二の次というのがいつものパターンだが、色々調べたり聞いたりしても、フォンドュやラクレットなどのチーズ料理、湖近くならではの淡水魚のお料理などの他にこれと言ったものにあたらない。後はイタリア風だったりドイツ風だったりが多いので、別にいいかな、と言う感じだ(もちろんそういう所も行けば行ったでおいしいけれど)。
「そこならではのおいしい物」というのが、街で売っているハムだったりチーズだったりするので、そういう物をそのまま食べたり、日本ではあまり見かけない食材を買ってお料理したりが一番楽しい。今はうさぎのお肉が冷蔵庫に入っている。どうお料理しようか(後日談。ソテーしただけでは硬いと何なので、大半を赤ワインで煮込み、1切れだけソテーしてみた。どちらもとてもおいしい。上質の鶏もも肉の様だ)。

ちなみに、地元の人にも人気だよ、と教えてもらったスイス料理レストランはおいしかった。最初にチーズ饅頭を取ろうと言われ、どんなもの??と思っていたら、本当にチーズのお饅頭の大きいのだった。ソフトボール大のチーズをパンに乗せ、衣を付けて揚げている。1人1個はとても大変。その後に続くフォンドュと言い、この勢いでチーズを食べたのは人生において初めてだ。

お食事の機会と言えば、後は各国のレセプションがある。今会合でのレセプションは少ない。あっても偉い人が呼ばれるのがぽつぽつ、私レベルが出られるのは日本とアメリカの2つ、後女性だけの朝食会位だった。多分この後、もうレセプションはないだろう。

日本のは、お寿司だの天ぷらだのがおいしいので、人気が高い。和食ブースは長蛇の列だ。今回日本酒のないのが残念がられる。色々な国の人たちとお話しし、「あなたの協会で出している雑誌読んでいるよ」とか言われると、本当に嬉しい(大変マイナーな雑誌なので…)。

アメリカのレセプションは、カクテルパーティとの案内だったが、すごい種類の前菜・パスタ・ピザやケバブなどが並んでいる。アメリカ人にとってはスナックなのか。ケバブ作りのお兄ちゃんが、具を挟むピタをうまく開けられない。列は伸びるし、焦る彼は私のを、開かないまま、上に具を乗せようとした。ちょっと待った、私がするから、と手を伸ばし、開いて渡す。おいしかった。
ステージからニューオルリンズジャズが流れてきたので嬉しくなって見に行くと、ラッパ、ボントロ、ギター、ドラムだった。New Orleansのロゴ入りTシャツを着ている。うーん、レマン湖がミシシッピーリバーに思えてきた。ちょっとリクエストする。

ここで一休み。ソドムの世界へようこそ(笑)。
レマン湖畔の公園を歩いていると、長さ1メートルはあろうかというゴム製の蛇のおもちゃを持った少年が、裸の女性のオブジェをそれで何回も打ち付けていた。
その帰り。ホテルに向かって坂道をあがっていると、縄跳びを自分の首に巻きつけ、その端を少年に持たせて歩く少女がいた。
別の日。やはり湖畔を歩いていると、男性の2人連れ。一人の手がもう一人の腰下に回っているようなのが気になり、通り過ぎてから後ろを見ると、お○○に指を突き(ピーーーーー)。

お休み終わり。
3回目の週末はベルン方面へ。以前より上司や両親から勧められていたのだ。途中他の街にも寄り、気が向いたら泊まるつもりだ。

朝早く、ホテルのご飯を食べに行くと、日本レセプションで、「いつもあなたと同じ所で朝ご飯食べているよ」とおっしゃっていた FCCの方がいらしたので、ご一緒する。彼は今日ジュネーブや他の街のマーケット(蚤の市みたいなの)を見に行かれるとの事。それは楽しそう。また、同じフロアに泊まっていて、今週で帰国される南アフリカの代表もいらしたため、お気をつけて、とご挨拶。

コルナヴァン駅へ行く。ベルンの手前にあるフリブールという、かなり大きな規模で中世の街並みが残っている所にも行きたく、時刻表を調べると、そこにも停まる電車が出るまで小一時間ある。これはちょうどいい、と、Mr. FCCにお聞きしたマーケットを覗きに行く。いい中古品を見つけた。以前から通販で見て憧れていた木製の地球儀で、横にぱかっと開けると、中にワインボトルが何本か入ると言う物だ。150フラン!安い。が、巨大だ。どうしたって持って帰られないし、送ったら幾らになるか。涙をのむ。

駅に戻り、フリブールへ。車中で読んだガイドブックでグリュエールにも行きたくなり、フリブール到着後、グリュエール行きバスの時間を調べる。1時間1本。恐らく今日はフリブール散策、グリュエールへ行き、フリブールに戻りベルンへ、という事になるだろう、と大まかに決める。

ビールやピザなどを頂いた後、フリブールを散策。駅前観光案内所の女性がマップに書いてくれた道程を辿る。とても美しい所だ。坂を上り下りしながら、屋根付きの橋や、街を一望できる丘など、歴史ある街を満喫する。
いつも思うのだが、建物の色や雰囲気が統一されていると、遠くから見た時に本当にきれいだ。聖堂や教会はどこのものに行っても敬虔な気持ちになり、小さい聖堂でもパイプオルガンがあったりするのに、更に感動する。

一回りしてからグリュエールへ。その名の通り、グリュエールチーズ作り実演所やお店を見ようというのが目的だ。バスを乗り継いで向かっている途中の空で、航空ショーに遭遇する。ラッキー。

到着すると、目の前がチーズ作り実演所。実演時間にはタイミングが合わなかったため、5フランでポータブルの解説再生機を借りて回るコースにする。駄目もとで聞いてみると日本語もあるのでそれを選ぶと、「私から出来る‘チーズ’というフルーツのマジックを教えてあ・げ・る♪」という感じの、やけに色っぽいめすの牛さんが喋っている。
ずらっと並ぶフルサイズのグリュエールチーズは壮観。機械が順繰りにチーズを洗っている。グリュエールチーズのお土産付き。いいおつまみが手に入った。

終わってから、グリュエールの町を歩く。実演所から山の上に見える小さな村落のような所がそれだ。10分くらい山を登ってゲートをくぐると、小さなホテルなどが並ぶメインストリートに、ベンツ(それも高そうなの)がずらっと並んでいる。なんだなんだと見ていると、人が乗り出す。試乗でも出来るのかと思ってみるが、どうもナンバーがスイス各地だし、オーナー達が一堂に会して何かやらかそうという趣旨のようだ。
しばらくすると、かぶと虫が羽を広げたような開け方のドア(分かるかな?)をオープンにしたままのベンツの一群が、ゆっくりと走り出す。ぱったんぱったんとドアを閉めながら、景色の中に消えていく。すごい光景だった。

町はメインストリートが200メートル程で、横に広がりもないため(つまり長さ200メートルの町だ)、のんびり歩いてもすぐに回れる。実演所前に戻り、今度は電車とバスを乗り継いでベルンに向かう。

ベルンに着いてまずびっくりしたのは、急に街がドイツ語になったことだ。電車でちょっとの距離でこんなに変わるのか。後で知ったが、先ほどのフリブールがフランス語圏とドイツ語圏の境界だとのこと。
今思えば残念なことだが、学生時代に第2外国語として取ったドイツ語は、語学クラスにしては珍しく出欠を取らなかった。それを良いことに3回くらいしか授業に出ず(最初は、第九を意味を理解しながら歌えたらな、なんて志もあったのだが)、あの手この手で何とか単位を取ったもので、街は何も語りかけてこない。

もう夜なので、観光案内所で近くのホテルを取り、ついでに先ほどから高まっているチーズ熱を何とかすべく、チーズフォンデュの食べられるレストランを聞く。チェックイン後、教わったレストランの中の一つで、ほの明るい夜のベルンを眺めながらおいしいディナーを頂く。

翌日日曜日は、朝からベルンの街を歩く。楽しい装飾を施した噴水がそこここに見られる。州や国の旗がはためいている。連邦議会議事堂、時計塔-その他、何でもない建物一つをとっても、なぜこんなに美しいのだろう。風景のどこかを無作為に切り取っただけでも、細かい所の細工など、文句なくきれいだ。
メインストリートを歩き、橋を渡ると、向かいがくま公園だ。くまは州のモチーフなのだ。壕の中で放し飼いにしている。小さいのがかわいい。が、これに襲われたら確実に死ぬ。

坂を登り、ローズガーデンへ。バラそのものもいいが、ここからの眺めを楽しみにしていたのだ。大きく蛇行するアーレ川。旧市街。遥か向こうの橋をゆるゆると渡っていく赤いトラム。定時になると、あちらこちらで鳴り出す様々な鐘の音が、街にゆっくり広がっていく…。なんという豊かな場所だろう。

どれだけ時間を過ごしたか。後ろ髪を引かれる思いでローズガーデンを後にする。気が済むまでいようとしたら1日経ってしまいそうだったのだ。坂を下り、大聖堂横にエレベーターを見つける。下ると川辺まで行けるようなので、下ってみる。グリーンの川はかなり水位が高い。ちょっと雨が降ったらすぐに溢れそうだ。
またエレベーターに戻り、上へ行こうとすると、さっき下った時と同じおじさんがいる。どうも彼はエレベーターおじさんで、本当は1フラン払わなくてはならないらしい。と気づいたのは降りてから。ごめんなさい。ありがとう。

その後も街をぶらぶらしてから、着いた駅でとりあえずはジュネーブまでの切符を買う。駅で買った巨大なケバブ7フランを持て余し、車中で残りを処分してしまう。電車に揺られながらガイドブックを見て、モントルーへ行くことにする。シヨン城は行く価値あるよ、と皆さんから聞いていたし、何よりもモントルージャズフェスティバルの開催場所だ。

ローザンヌで乗り換え、車中でモントルー・ローザンヌ間の切符を購入し、モントルー着。ジャズフェス開催会場のコンヴェンション&エキシビション・センター(割とこじんまり)もちょっと見てから、観光案内所で、シヨン城への行き方を聞く。歩くと45分、後はバスかボートだ。迷わず歩く。湖畔の気持ち良い遊歩道だ。
45分後、湖に浮かぶように建つシヨン城に到着。パンフを見ながら13世紀に作られた石造りのお城を歩く。バイロンが石壁に自分の名を落書きした跡がある。牢獄だった所には鎖につながれた首輪がある。来て良かった。

帰りも歩く。シヨン城に近い小さな駅に、電車が止まっている。周りの風景とあまりにもぴったり来ていたので、デジカメを向ける。撮り終わり、再び全景に目をやると、車掌さんがこちらに向かって何か言っている。良く(と言うか全然)分からなかったので、笑って手を振ると、彼もにこっとし、電車がゆっくり走り出した。撮り終えるのを待っていてくれたのだろうか。いいなぁ。

途中、そう言えば、と思い出し、いかにも各種イベントパンフレットがおいてありそうな建物で、ジャズフェスのスケジュールを探す。やはり。ジャズフェスは、私の滞在期間にもぎりぎり重なる。これは行かなくては。もうソールドアウトになっているコンサートも多いが、雰囲気を堪能できるフリーのコンサートやイベントはたくさんある。

電車に乗り、ローザンヌで乗り換え、ジュネーブへ向かう。ちょっと気が向いたので、途中のNyonで降りてみる。ベルンやフリブールがそのまま小さくなったような街だ。ヨットハーバーが気持ちよさそう。

それにしても交通運賃が高い。ジュネーブ⇔ベルン間は2時間もあれば行ける距離なのに、それプラスちょっとわき道のグリュエールだのモントルーで、合計1万円を越えている。でも補って余りある旅だった。
もしこの後、アルプスの山を見に行く時間があれば、スイスパスなどを購入したほうが良いかもしれない。

投稿者: 大野かおり 日時: 2003年06月15日 12:36 |

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