T. Kitanaka with Yo Kimura Trio (rec. June 2009) +解説

"Indian Summer" --- アイルランド人クラシック奏者(チェリスト)のV. Herbertが1919年に作曲し、後にジャズのスタンダードとなった名曲。表題は晩秋の暖かな小春日和の意味。フランク・シナトラがトミー・ドーシー楽団をバックに甘い歌声で歌ったものが有名だが、シドニー・ベシェはそれに先んじて1940年にこの曲をジャズの世界に初めて持ち込み、美しい録音を残した。


"Dear Old Southland" --- "After you've gone"や"Way down yonder in New Orleans"などの名曲を生み出したピアニストのT. Laytonが、南部プランテーションの黒人霊歌である"Deep River"および"Sometimes I feel like a motherless child"を取り入れ1920年代に作曲。ルイ・アームストロングがアール・ハインズとのデュオで1930年に録音したものが有名だが、シドニー・ベシェは1920年代から頻繁にこの曲を演奏に用いたとされており、1930年代にNoble Sissle楽団をバックに素晴らしい名演を残した。その後も何度も録音し、生涯に渡りベシェの代名詞の一つとなった。


"Si tu vois ma mere (Lonesome)" --- 1952年、パリにて優雅な晩年を過ごしていたベシェが作曲。表題は「もし貴方が私の母に会ったなら」という意味。シドニー・ベシェの醍醐味である独特の美しいメロディラインが存分に使われている。ベシェは多くのニューオリンズ・ミュージシャンと同様に楽譜が読めなかったがピアノは自由に弾きこなせたため、作曲はベシェのピアノをもとに楽譜が書ける友人が代筆したとされている。ベシェの美しいピアノが聴こえてくるような印象的な曲。


"Petite Fleur" --- 同じく1952年、フランスにて再婚したベシェが新妻に捧げて作曲。世界的な大ヒットとなり、シドニー・ベシェと言えばこの曲、と言われるベシェの代名詞。表題は「小さな花」の意味。ベシェが亡くなった1959年、フランスから遠く離れた日本では「可愛い花」としてザ・ピーナッツのデビュー曲に使われた。


"Summertime" --- ガーシュインが1935年、オペラ「ポギーとベス」のために作曲。1939年にベシェが初めてジャズナンバーとして用いてBlue Noteレーベルに録音したが、これがアルフレッド・ライオンが同年立ちあげたばかりの同レーベル初の大ヒットとなり、以後"Summertime"はジャズのスタンダード・ナンバーとなるとともに、Blue Noteも不動のジャズレーベルとしての地位を確立することとなった。


Rec. June 2009
T. Kitanaka (ss), Y. Kimura (d), R. Ogawa (p), N. Ishida (b)

投稿者: 北中たけお(渡米中) 日時: 2009年12月01日 21:44 |

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